BACCAIng(ばっかいんぐ)は富山県と公益財団法人富山県新世紀産業機構がサーキュラーエコノミー(循環経済)の構築の一環として取り組むアップサイクル創出プロジェクトです。

縫製工場が取り組む、循環型ものづくりへの挑戦

企業視察

株式会社ミヤモリ

“裁断くず”をなんとかしたい!

第1回ばっかいんぐカンファレンスのフィールドワークは小矢部市の縫製工場、株式会社ミヤモリを訪問。スポーツウエアや学校体操服を中心に、年間60万着の縫製を手がける同社では、その生産工程で、年間20トンもの布地の“裁断くず”が発生し、以前は埋め立てや焼却によって処分されていました。これをなんとかしたい!という思いから開発したのが「服の鉛筆」®です。
布を炭化させた繊維炭を芯に使ったこのユニークな鉛筆は、23年度の日本文具大賞サステナブル部門優秀賞を受賞。
この他にも、環境課題解決に貢献する循環型ビジネスモデルの構築を目指し、独自のアップサイクル活動に精力的に取り組まれています。

株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ

企業情報

企業名
株式会社ミヤモリ
ウェブサイト
https://www.miyamori-co.com
所在地
〒932-8588 富山県小矢部市埴生208[MAP]

創造会議

株式会社ミヤモリ

第1回カンファレンス創造会議では、まず富山大学芸術文化学部の有田准教授から、ものづくりにおける素材の再利活用とデザインの役割について、事例を交えながら紹介いただきました。
続いて、参加者各自が得た気づきやお互いの知見を共有。“捨てない”を促進するためのリペアの仕組みづくりや、余剰品の抑制する生産体制について、さらに企業のミッション・ビジョンを社内に浸透させる大切さなどについて多くの意見が交わされました。

主なディスカッション

富山大学 芸術文化学部 有田 行男 准教授によるインプットから

  • 「高岡の水」のように地域環境や社会情勢との相乗もある
  • アップサイクルは、出会ったタイミングが唯一の機会
  • 元の素材をわからなくする、活かす、両方あり
  • アップサイクル品は価格も大事、高いほうが価値を感じる?
  • 発想や考え方、コミュニケーションにもデザインの力が大事

「高岡の水」(www.city.takaoka.toyama.jp

株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ

株式会社ミヤモリフィールドワークから

  • トレーサビリティ(ものの履歴)でアップサイクルの価値づくり
  • 生活者に捨てさせないために、リペアラブルの活性化を
  • 鉛筆を通じて次世代を担う子どもにもアプローチ
  • 受賞などの外部評価で社内のモチベーションもアップ!
  • 小ロット・短納期で生産のムダを減らす
  • 外部との協業のむずかしさも課題
株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ
株式会社ミヤモリ

第1回創造会議のまとめ

1.ロングライフなモノづくり

  • 「高岡の水」:防災意識が高まる中で、アルミによる高保存性やリサイクルの観点をアピールし、ストーリー性のある普遍的なデザインを実現している。
  • アップサイクルのキーワード「一期一会」:一度きりの出会いを大切にするという意味で、アップサイクルの価値を強調。
  • 品質重視のリセット:一旦制限をリセットすることで、自由な発想が可能になる。

2.デザインとコミュニケーション

  • デザインの広がり:デザインは色や形だけでなく、考え方や設計から始まる。デザイン思考を取り入れることで、情報発信やモノづくりに新たな価値を生み出す。
  • 学生の柔軟な発想:富山大学の学生の柔軟な発想が良い影響を与える。
  • 素材をデザインする:素材自体のデザインも重要であり、クリエイティブリサーチが必要。

3.環境意識と教育

  • 若い世代への環境意識の啓発:未来を担う子供たちへの教育活動が重要。子供が主役となるプロジェクトが求められる。
  • 家庭内での再利用:体操服などの再利用を通じて、環境負荷を減らす取り組みが必要。

4.サーキュラーエコノミー

  • 協業関係の構築:同業者間でのサーキュラーエコノミーの協業やひいては社会全体での意識づくりが必要。
  • リペア文化の推進:リペア前提のモノづくり(リペアラブル設計)を推進し、消費者に捨てさせない文化を作る。

5.企業の取り組み

  • 自社工場の廃材リサイクル:自社工場の廃材を自社製品にリサイクルする取り組みが既に実施されている。
  • 従業員への啓発:ミッションの社内浸透により、従業員全員が理解することが重要。
  • 小ロット、短納期対応:小ロットで短納期の対応を行い、無駄を作らないモノづくりを実現。

6.地域資源の活用

  • 富山の地域資源:富山ならではをもたらす地域資源を活用し、それらを無駄使いしないサーキュラーエコノミーの必要性を浸透させる必要がある。
  • 地場産物の利活用:地場産物を活用した製品開発やプロジェクトにより地域に経済的発展をもたらす。

7.課題と提案

  • コストと売価のバランス:サーキュラーエコノミー推進時のコストと売価のバランスを取ることが課題。
  • リペア職人の地位向上:リペア職人の地位向上を図り、モノのメンテ事業の拡大を目指す。

8.その他の重要ポイント

  • 社長のリーダーシップ:社長の明確な方針にもとづいた施策の実行とそれらに対する牽引力が企業の強みとなっている。