BACCAIng(ばっかいんぐ)は富山県と公益財団法人富山県新世紀産業機構がサーキュラーエコノミー(循環経済)の構築の一環として取り組むアップサイクル創出プロジェクトです。

長く使える“良い商品”でサステナブルに

企業視察

株式会社リッチェル

くらしに密着するプラスチック製品の高品質をいかに支えるか

第2回のフィールドワークは富山市の株式会社リッチェルを訪問。キッチンなどのハウスウェア用品からベビー用品、ペット用品、園芸プランターやエクステリア用品、さらにライフケア用品まで、幅広い分野で高品質なプラスチック製品を手がける企業です。サステナビリティの観点から、プラスチックに対する社会の関心が高まる中、使い捨てではない、丈夫で長く使える「良い商品」を提供することで持続可能な社会への貢献を目指しています。フィールドワークでは併設されたリサイクル工場も見学。製造工程で発生する調整品や不良品などを集めて再生活用されていますが、品質基準を維持するために廃棄品が増えてしまうことや、複数の樹脂を混合したプラスチック製品のリサイクルの難しさなど、多くの現場課題も共有されました。

株式会社リッチェル
株式会社リッチェル
株式会社リッチェル
株式会社リッチェル

企業情報

企業名
株式会社リッチェル
ウェブサイト
https://www.richell.co.jp
所在地
〒939-0592 富山県富山市水橋桜木136[MAP]

創造会議

株式会社ミヤモリ

創造会議では、リッチェル社の視察で得られた知見を元に、リサイクルとアップサイクルの現状や課題についてディスカッション。特に、廃プラスチックの再利用における技術的な難易度やコスト面、それらに対する生活者の理解や意識変革の必要性に焦点が当てられ、製品のデザイン段階からリユースを考慮することの重要性についても話し合われました。

主なディスカッション

株式会社リッチェルフィールドワークから

  • プラスチックといっても素材は複数、混ざるとリサイクルできない
  • 材料に戻さないアップサイクルが必要
  • 一点物、偶発性、アート化、コラボなどをキーにアップサイクル
  • 安さを求められてしまう再プラ製品の価値向上を!
  • 『不良品』の色ムラや不均一さを魅力として再定義したい
  • 表情がおもしろい「ドベ」を活用できないか
  • アップサイクル専用の品質管理基準を!
株式会社リッチェル
株式会社リッチェル
株式会社リッチェル
株式会社リッチェル
株式会社リッチェル

第2回創造会議のまとめ

1.意識改革の促進

再生品に対する生活者の意識(品質や価格に関する許容度など)を変える必要性。その一助となるようなストーリー性のある製品デザインや、プロモーションの重要性が注目された。

2.異業種連携の可能性

異業種間の連携により、廃棄物を新たな材料として活用するアイデアにも広がりが生まれる。また第1回カンファレンスでも意見が多かった同業者間での連携・協業も必須。

3.アップサイクルの価値創造

アップサイクル品の価値を高めるために、製品自体の価値、ストーリーへの共感、デジタル活用の三位一体のアプローチが必要。

4.技術の向上とコスト削減

異なる樹脂の混合物は現状リサイクルが困難。またリサイクル品はコストがかさむ一方で生活者は安価を求めるため、コスト削減と価値の再定義が求められる。

5.業界基準の確立

従来の“リッチェル・クオリティ”ではなく、業界全体での基準作りが必要。

6.今後へのアイデア等

  • リペアカフェの導入:オランダの先行事例も参考に「リペアカフェ」を設置し、修理と再利用を促進。
  • 教育プログラムの実施:次世代を担う子どもたちへの教育を通じて、リサイクルとアップサイクルの重要性を伝える。
  • 新しいブランドの創出:リッチェルの既存ブランドとは切り離した新しいブランドをつくり、新たな品質基準で素材の特性を活かした製品開発を行う。
  • 色による仕分け:色分けによって、異素材製品のアップサイクルや再利用の道を広げられないか。
  • 新たな技術開発:混合プラスチック製品のリサイクル技術をはじめ、さらなる研究開発や企業を横断する取組みが必要。